■まずは「5年要件」で取ることを第一に考える
このページをご覧いただいているのは、これから初めて建設業許可(一般)を取ろうとしている業者の方が多いと思います。
建設業許可には29業種があり、初めから複数の業種の許可を取ることも可能ですが、筆者としては、初めての許可の場合、まず御社のメインである1業種に絞って申請することをお勧めします。
というのは、建設業許可の”ヒト”要件の大きな柱である経営管理責任者(経管)には、次の2つの方法があるところ、証明が簡単なのは言うまでもなく(1)だからです。
(1)許可を受けようとする業種について5年の経営経験を証明
例:管工事で許可を受けたい場合は、管工事につき5年
(2)許可を受けようとする業種以外の業種について7年の経営経験を証明
例:管工事で許可を受けるため、防水工事につき7年
もちろん御社の希望や状況にもよるので一概には言えませんが、「7年の経験を積んで2業種一度に取る」よりは、「5年の経験を積んでメイン1業種を取り、さらに2年の経験を積んでサブ1業種を取る」方が手続的にも楽ですし、何より許可が早い方が、業界内での信用も厚くなります。
■証明のネックは「契約書」
では「経営経験」はどのように立証したらいいのでしょうか?
主に次のような書面です。
(1)経営者の地位にいた(いる)こと
個人事業主であれば、確定申告書控え
法人であれば、役員に就いていたことがわかる登記事項証明書(登記簿)
その他、役員に準ずる地位にいたことがわかるもの(ケースバイケース)
(2)常勤性
法人の場合は、その法人が事業所として記載された健康保険証など
(3)工事の経験を証する書面
建設業許可のある業者で役員等に就いていた期間については、その間の決算報告書等の写し
建設業許可のない業者で役員等に就いていた期間については、その間の工事請負契約書等
この中で何がいちばん大変かと言われれば、何と言っても工事請負契約書です。
業種にもよりますが、建設業界はまだまだ口約束が多く、契約書などいちいち取り交わさないことが多いからです。
契約書がない場合には、請求書+その請負代金が入金された銀行通帳による証明でも認めてくれることがありますが、金額の一致などを確認する作業は膨大な量となります。
可能であれば、過去の注文者に「今さらですが」と何とかお願いして、さかのぼって契約書作成に協力してもらう方がよいでしょう。
※あくまでも実際に請けた工事の契約書の作成です。請けてもいない工事の契約書を作ってはいけません。
■これから許可を受けようとする業者は
これから許可を受けようとする業者は、次の点に気をつけてください。
(1)社会保険にはきちんと加入する
法人の場合、役員でも社保への加入義務があるので、本来は未加入ということはあってはならないことです。
しかし実際には未加入の法人も多いのが現実です。
今加入していないのであれば、すぐにでも手続して加入してください。
要件を満たしていれば、さかのぼって2年前から加入することも可能ですので、詳しくは社会保険労務士または年金事務所にご相談ください。
(2)契約書を作成する
面倒と感じられるかも知れません(特に少額の工事の場合)が、それでも契約書はきちんと作ってください。
というのも、上記に挙げた5年又は7年という経験は、実はかなり厳密にチェックされるのです。
例:4月1日~10日、5月11日~20日、6月21~30日の工事契約書がある場合
→10日×3=30日で、1か月分の経験としか認められない
たとえ契約書のない期間に工事をしていても、契約書がない以上、経験とは認められません。
(3)注文者(元請業者)や自分のいる業者とケンカ別れしない
前述のように、これらの人達や業者の協力がないと、経験年数が証明できない場合があります。
独立して自分の会社を起ち上げた後も、協力してもらえる程度に良い関係は築いておいた方がスムーズです。
■費用の目安(税抜)
・建設業新規許可(一般・知事免許・1業種まで)の基本報酬と実費
個人の場合 基本報酬 10万円~+実費9~10万円
法人の場合 基本報酬 12万円~+実費9~10万円
・加算要素
2業種以上1業種につき3万円加算
特定許可 5万円加算
大臣免許 5万円加算