■必ずしも資本金として登記されている必要はありません。が…
株式会社や合同会社、特例有限会社の登記簿には「資本金」という欄があります。
建設業許可(一般)の財産的基礎要件として、500万円以上(建設業法7条4号)という要件が定められていますが、この資本金欄が500万円以上ある必要があるのでしょうか?
結論から言うと、必ずしもその必要はありません。
極論を言えば、登記簿の資本金欄が1円であっても、500万円以上の預金残高証明書または融資可能証明書が取れれば、この要件は満たされるものとされています。
ただし、ここで一つ問題があります。
この方法によって許可を取る場合、預金残高証明書等は申請日前30日以内のものと、有効期限が大変短くなっているのです。
残高証明書を取ったはいいけれど、現場で忙しいために、申請するのが遅れてしまい、結局取り直すことになる、などということは十分に起こりえます。
したがって筆者としては、可能な限り資本金を500万円以上に増資し、その登記をすることをお勧めします。
また最低資本金制度が撤廃されたとはいえ、やはり資本金は会社の信用力のバロメーターの一つですので、取引、融資の面でも有利になります。
マストではありませんが、ベターな選択肢として、検討の余地は十分にあるでしょう。
■増資の際は、事前に税理士へご相談を
会社を設立してすぐに許可申請する場合は気にしなくていいのですが、既存の会社を増資する場合には、1点気を付けなければならないことがあります。
それは発行する株式の価格を適正なものにする、ということです。
例えば1株1万円、300株300万円で設立した株式会社が、200万円増資するには、1株をいくらにしたらいいのでしょうか?
「設立時と同じ1万円でいいのでは?」というのは早計です。
例えば設立時の株主がAさん200株、Bさん100株で、今回発行する株式の割り当てが、Aさん200株だとします。
ところがこの時、会社の純資産が3000万円にまでふくらんでいたとすると、1株10万円の価値のあるはずののものを1万円で発行したことにより、1株の価値が6万4000円に下がる※ため、税務上、BさんからAさんへ、その下がった分の贈与があったとみなされ、贈与税が発生することがあるのです。
※(3000万円+200万円)÷500株=6万4000円
逆に会社の純資産が30万円にまで落ち込んでいたとすると、1株1000円の価値しかないものを1万円で発行したことにより、1株の価値が4600円に上がる※ため、税務上、AさんからBさんへ、その上がった分の贈与があったとみなされ、贈与税が発生することがあります。
※(30万円+200万円)÷500株=4600円
上記はかなりざっくりした計算で、実際にはもう少し複雑なのですが、とにかく株主が2名以上いて、持株比率に応じていない株式発行(第三者割当といいます)の場合は、必ず事前に税理士へ相談する、ということを忘れないでください。
■当事務所なら税務、登記、許可までワンストップ
御社で既に申告等を依頼している税理士がいらっしゃるのであれば、もちろんその税理士にご相談ください。
もし税理士がついていない場合には、当事務所が親しくしている税理士を紹介することもできます。
また当事務所は、司法書士の資格も持っていますので、増資の登記をお受けすることが可能です。
このように、ワンストップで安心のサービスを提供するよう心がけています。
■費用の目安(税抜)
・増資の登記
基本報酬 3万7000円~
登録免許税 増資額の0.7%(最低3万円)
・加算要素
増資額等に応じて加算あり
500万円超1000万円まで 1万円加算
1000万円超5000万円まで 2万円加算
5000万円超1億円まで 2万円加算
1億円超1億円までごとに 2万円加算
現物出資がある案件 1万円加算